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覆面講師Tの『つれづれならぬ日々』③ Vol.2

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【健さんとの邂逅編~vol.2~】

こんにちは。覆面講師のTです。
前回のお約束どおり、一週間ぶりの更新になります。
その間、このブログの構想を練っていると、
無性に健さんの映画が見たくなってしまい、
近くの大手レンタル店へと
自転車を走らせてしまいました。

そこで借りたのは、1985年の東映「夜叉」(降旗康男監督)
という映画。
健さんとビートたけしの共演で話題になった映画ですが、
そのポスターにも使われた一枚のスチール写真の健さんが
滅茶苦茶格好いいんです。

黒いコートにソフトハット(中折れ帽)を目深にかぶり、
じっと正面を見つめたまま右手をまっすぐ伸ばして
ピストルを構える姿は、
米映画「ゴッドファーザー」のアル・パチーノや
「アンタッチャブル」のケビン・コスナーも真っ青の
ダンディズムを醸し出しています。

首の曲がる角度、真一文字に結んだ口、
見ているものを突き通してしまいそうな鋭い眼光、
もうね、所作も服装も背景も
すべてが絶妙のバランスで構成されているんですよ。

こんな姿がさまになる俳優、
おそらく今の日本には誰もいないでしょうね。
(興味がある人は、ネットの画像検索で「夜叉、高倉健」と
打ち込んでみてください。
それらしい画像がいくらでも出てきますので・・・)

この映画を初めて見て以来、
そのシーンがずっと脳裏に焼き付いていまして、
健さんのことを思い出すたびに見たくなるわけなんです。

というわけで、この原稿が行き詰まりつつあったこともあって、
気分転換の意味でも、夜遅い時間にもかかわらず、
閉店間際のT屋(レンタルDVDショップ)
へと駆け込んだのでした。

ちなみに、この時、何をトチ狂ったのか、
いい年して西野カナのベストアルバムCDも
一緒に借りてしまいまして、

健さんのDVDと西野カナのCD、
しかも借りるのはTというシュールな組み合わせに
運悪くも遭遇してしまったレジのバイトお姉さん、
軽くフリーズしてました^^

一応笑顔で「ご利用泊数は7泊でよろしいですか?」
とか言ってましたが、
その、かりそめの笑顔の下に秘められた
『変人警戒センサー(測量計)』の針が一瞬、
極限値以上に振り切れたのを小生は見逃しませんしたよ(笑)

おっと、また話が脱線しそうですね。
では、ここらで軌道修正しまして、本題に戻ります。

ということで、前回の続き、
岡山駅から伯備線の電車に
乗り込んだところから話は再開です。

目的の備中高梁駅までは所要約一時間、
車内で小生は美術館への期待に胸を膨らませながら、
これまで見てきた健さんのいろいろな映画への
思いに耽っていました。

もちろん、上述の「夜叉」もその一つですが、
やはり、健さんの映画で一番たくさん見たものと言えば、
「幸福の黄色いハンカチ」(1977年、松竹、監督:山田洋次)
でしょう。

もうかれこれ、10回は見ていると思います。
この映画、健さんの初期の映画に比べたら
マスター版が良好な状態で残っていて、
VHS化、DVD化もされていたり、
テレビの金曜ロードショー(日テレ)で
何度も放送されていたりと、
健さんファンでない人にとっても
比較的馴染みのある映画、

見たことない人でも名前くらいは聞いたことある
映画ではないかと思います。

その中でも、とりわけ印象に残ったシーンがあります。
映画の冒頭、始まって10分過ぎたくらいのところなんですが、
過去に人を殺める過ちを犯してしまった
健さん演ずる主人公
(たしか島勇作とかいう名だったような・・・)は、

長年のお勤めを終え、網走刑務所を出所するところから
映画に登場してきます。

久しぶりの娑婆(シャバ=刑務所の外、の意)の空気に触れた健さんは、
あてどなく歩いていたオホーツク沿岸の町で、
一軒の食堂へと入っていきます。

店に入るなり、健さん、娑婆での第一声は、

「ビールください」

なるほど、ムショの中ではアルコールはご禁制でしたからねえ、
やはり、娑婆に出てきた人は最初に口にしたいのはやっぱ酒かあ・・・
なーんてことを思いながら見ていたわけなんですが、この後の展開がある意味、
私にとっては「どストライク」なんです。

席に着いた健さんは壁に貼られたメニューを
まじまじと見つめています。

そんなところにビール瓶が運ばれ、
店のお姉さん(おばさん?)は
コップにビールをなみなみと注いであげます。

そこで健さんが次の一言を発するわけなのですが、
これがどういうわけなのか、この映画を初めて見た時から、
私の心に完全に憑りついてしまったようなのです。

「あのー、醤油ラーメンとカツ丼ください」

ホントに何気ない一言なんですけれどね、
大飯食らいの巨漢男が言ってるわけでなければ、
体育会系の学生が言ってるわけでもないんです。

あの健さんが渋めの低い声で鋭い眼光を
きらめかせながらおもむろに言うのです。
だからこそ絵になるんです。

長らく塀の中で娑婆の食事を渇望していた男の願望が叶えられる時って、
きっとこんな感じなんでしょうね。

しかも、大衆食堂で注文をする仕草にまでダンディズムがにじみ出てます

そして、注文を終えた健さん、
テーブルの上に置かれたコップを両手で、
あたかも生まれたばかりの赤ん坊を抱くように大事そうに抱え込み、
コップから今にも溢れそうになってるビールの泡を、
一滴も漏らすまいという感じで口からお迎えに行くのです。

コップを両てのひらで包み込んだまま口に付け、
目を閉じてそのまま首を後ろに反らせるようにして一気に飲み干します。
間違っても「プハー」とか言ったりはしません。

飲み干した後のわずかな唇の動き、
頬の動きと眼光だけですべてを演じ切る。

もう、完璧です。

同じシーンを同じセリフで今の俳優にやれと言って、
一体誰ができるでしょうか?

それくらい、健さんの演技が凄いんです。

声のトーン、言葉を発する間合いの取り方、話す時の視線の流し方、
全てにおいて非の打ち所がない。

そう、役になりきってるとか、
もはやそんなレベルの話じゃなくて、

役の人格と健さんの人格の境目が消滅している感じなんです。

脚本の中でしか生きられなかった主人公が、
何らかのきっかけで魂と生命を吹き込まれ、
健さんという媒体に降臨している・・・

小生がこのシーンを初めて見たのは、
大学一年生の時だったと覚えています。

当時、今ほど世の中の俗塵にまみれておらず、
その反面、
感受性だけは人一倍強かった青年Tは、
このシーンにたちまち感化されてしまいました。

いやあ、たまらん、

「こんな洗練されたラーメンやカツ丼の注文の仕方があったんだ!!」

当時、ピュアだった青年Tにはあまりにも衝撃的すぎる場面でした。

そして思うわけです。
「ああ、俺も健さんみたいな男になりたい」と・・・

その一週間後、夏休み中だったTは、
高校時代の友人と北海道一周旅行に出掛けました。
その旅程では、当然、網走地方も回ります。

この網走という町、

「網走番外地」(1965年、東映、監督:石井輝男)
というヒット作の影響もあって、

とにかく町中の至る所に
健さん、刑務所、健さん、刑務所、健さん・・・みたいな
観光PRの溢れる町でしたが、
そんなごり押しの観光に飽きて
町の外れのオホーツク海沿岸を徘徊していた青年Tは
偶然に見つけてしまいました。

あの、健さんが醤油ラーメンとカツ丼を注文したような雰囲気の食堂を・・・

もちろん、映画に出てきた店そのものではありません。
日本中どの町に行っても、駅前に一軒や二軒はありそうな、
ごくありふれた感じの町の食堂。
毎日通勤通学で使う都内の駅前にあったならば、
きっと何年経っても一度も入る気にはならないような、
そんな鄙びた雰囲気を醸し出してます。

 

でもね、
健さんに感化されちゃってたTに
どこかから電波が送られてきたのです。

「ここでなら、もしかして俺も健さんになれるんじゃないか?」って。

そして、店頭のショーケースをのぞき込むと、
きちんと醤油ラーメンもカツ丼もあるのです。

もうこうなったら、やるしかないじゃないですか(笑)

「まだ腹減ってねえよ」とあまり乗り気じゃない連れの男(友人)の
手を強引に引いて店へと入って行く青年T。

そして、健さんが降臨している(つもりの)Tは、
店の人が「いらっしゃいませ」と
言い終わるかどうかのタイミングで言うのです。

「ビールください」

思いっきり声のトーンを下げて、

眉間にやや皺を寄せて
(その時は健さんになりきっているつもりでしたが、
映画を見直したところ、健さんはちっとも眉間に皺なんか寄せてなかった)・・・。

でも、とにもかくにも、上手く言えた。
まずは第一関門クリアです。

呆気にとられて口をポカーンと
開けている連れのことなんか
もはや意識の中にはなく、
Tは勢いこんで席に着きます。

店のおばちゃんが瓶ビールとコップをTの前に置きます。

そしていよいよ第二関門。

Tは身も心もムショ帰りの健さん(の役)になりきって、
覚悟を決めておばちゃんに注文の言葉を発しました。

「あのー、しょ、醤油ラーメンと、カ、カツ丼ください」

あれれ? やっちまいました。
あまりもの緊張ゆえ、
最初の一文字でどもってしまったのです。

「これじゃあ、健さんじゃなくて『北の国から』の田中邦衛じゃねえか・・・」

なんて後悔をしても時すでに遅し、
その気まずさを取り繕う意味でも、
Tは平然を装って、コップに手を伸ばします。

ここで映画と現実の違いをTは思い知らされることになります。
映画では店の人がコップにビールを注いでくれていましたが、
Tの前にあるコップは空っぽ。

まあ、そうですよね。大衆食堂で店の人が
ビールのお酌なんかしてくれるわけないってことに、
今更ながら気づく青年T。

慌てて手酌でビールを注ごうとしましたが、
さっきの失敗でもう頭の中はパニック。
恥ずかしさのあまり手が震えてビールはコップの淵からこぼれ、
泡がテーブルの上を這う展開になってしまいました。

それを厨房から見ていた店のおばちゃんが
すぐさま布巾を持ってきてくれて事なきを得ましたが、
この後、このおばちゃんがTに発した一言が
追い打ちをかけることとなりました。

「お兄ちゃん、あんたみたいなの、今月で二人目だよ」

ガビーン!

そう、お店の人はTがのれんをくぐった時から
すべてお見通しだったんです。
つまり、私の前にも同趣味の先客がいたってこと。
まあ、場所的にも店の雰囲気からも、
そんな輩が集まって来てもなんら不思議はないわけですが・・・
それに気づかないTがあまりにも未熟でした。

 

決行前は、完璧に健さんを演じ切って、
あわよくば店の人の
『変人警戒センサー』の針を振り切らせてやろう、
そんな野望さえ抱いていたTでしたが、
Tの人生はじめての『健さんチャレンジ』は見事、玉砕。
その時の醤油ラーメンの味もカツ丼の味も全く覚えていません。(トホホ)

ただただ、文字通り顔から火が出るような恥ずかしさと、
あの時の、可哀想な子を見つめるような、
店のおばちゃんの慈愛に満ちた視線のみが、
青年Tの記憶に刻み込まれる結果となりました。

後に知ったことですが、
健さんはあのシーンを撮るために、
前もって二日間食事をせずに撮影に臨んだとのこと。
健さんがそれくらい、役柄にストイックに向き合って、
ようやく撮れた珠玉の一コマだったわけなんです。

だから、
観光気分で街をフラフラして、
朝も駅弁を腹一杯食べていたTが、
酔狂で同じ役を演じようとしても、
失敗するのは当然の成り行きだったんですよね。

それから二十数年、
年を重ねるにつれ、
もうすっかり世俗にまみれてしまったTですが、
おっさんになっても、折にふれてこの時の失敗を思い出します。

まあ、
今となっては若い頃の懐かしい思い出の一コマでしかないのですが・・・
でもね、この年になっても小生は、

いまだにあの時のリベンジを諦めたわけじゃないんです。
むしろ、年齢的にも、
映画で健さんが演じた役の年に近づいてきた今こそ、
上手くやれるんじゃないかとさえ思うことがあります。

健さん亡き今、
「日本で一番、醤油ラーメンとカツ丼の、
洗練された注文ができる男の地位を継ぐのはこの俺だ・・・」

そんなことを本気で思うようになったりしているTですが、
その前には何としても、
二十数年前の網走でのリベンジを果たさないと・・・
そんな焦りさえも感じながら、毎日を生きておりました。

で、そのリベンジの機会は突然にやってきたのでした。
それは北海道でもなければ、海のそばにあるわけでもない、

中国地方の真ん中の町で・・・

(ということで長くなったので、今回はここまで。
続きは
まあ、なるべく早くにアップできるよう頑張ります)

 

 

 

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